2016年6月20日月曜日

ASEANに統一最低賃金を インドネシアが策定提唱


インドネシアは、東南アジア諸国連合(ASEAN)域内の統一最低賃金制度の策定を提唱した。同国のカラ副大統領が今月、域内各国の競争について、最低賃金で競い合うのではなく、「より健全な競争」を目指すべきだとの見解を表明した。国営アンタラ通信などが報じた。

 カラ副大統領は、ASEAN各国の政府はそれぞれの国の労働者に低賃金労働を強いるのではなく、協調して生産性の向上を図り、労働者の購買力を高めて地域全体の経済の底上げを図るべきだと主張。縫製業や製靴業を引き合いに出し、「(発注側の)企業は15ドル(約1600円)でつくった製品を国外で100ドルの値をつけて売っている」と述べ、世界的な大企業が最低賃金を比較している現状を好ましくないとの認識を示した。


 また、同副大統領は、ベトナムやカンボジアとASEANの労働者を搾取から守る方向性では一致したとし、今後はマレーシアやシンガポールなどにも意見を求め、ASEANの枠組みで労働関係の閣僚会議を開く方向で努力していきたいとした。

しかし、ASEANに加盟する10カ国の最低賃金は、2015年1月時点でカンボジア(プノンペン)が月額約1万3700円、ベトナム(ホーチミン)が同約1万4900円であるのに対し、インドネシア(ジャカルタ)が同約2万1300円、マレーシア(マレー半島)が同2万3400円などと開きがある。


 さらに、シンガポールのように1人当たりの国内総生産(GDP)が域内で突出して高く、法定最低賃金制度自体が存在しない国もあるうえ、最低賃金が生産コストに直結する産業界の抵抗も予想されることから、統一した最低賃金制度の策定は容易でないとみられている。

 ASEANは、昨年末に経済共同体(AEC)の発足にこぎつけ、貿易自由化と市場統合による地域全体の成長実現に向けて動き出した。今後も、ASEAN全体を対象としたさまざまな提案が加盟各国から出てきそうだ。

情報元:SankeiBiz

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