2016年8月8日月曜日
たばこでガンが治るクリニック?
インドネシアの首都ジャカルタのクリニックで、痩せ衰えた西洋人の女性を診察していた医師が、患者の口にたばこの煙を吹きかける。
「これを待ってたのよ」と、女性はうなった。女性は長年の喫煙がもとで肺気腫を患っている。がんや自閉症をたばこで治療することをうたい文句にしているこのGriya Balurクリニックに定期的に通っているのだ。
このようなクリニックは、違法ではない。この国ではたばこを吸うことが一種の伝統となっており、規制も緩い。さらに数十億ドルの収益を生み出すたばこ産業が貴重な財源であることから、こうしたクリニックが問題視されることはないのだ。
治療で使われるたばこは「ナノテクノロジー」の結晶で、「神のたばこ」と称されている。これを患部に吹き付けることで、がんの原因とされる「フリーラジカル」を取り除くという。ちなみに、ものすごい音量で流れているフィル・コリンズ(Phil Collins)の歌は、治療とは関係ないようだ。
クリニックを創設したグレタ・ザハール(Gretha Zahar)博士によると、過去10年間だけで、たばこ治療を施した患者は6万人にのぼる。西ジャワ州のパジャジャラン大(Padjadjaran University)でナノ化学の博士号を取得したザハール博士は、たばこの煙に含まれる水銀を操作することで、がんを含めたあらゆる病気を治せるどころか、若返りにも効果があると信じている。
「水銀は万病のもと。わたしが開発した『神のたばこ』には体内の水銀を食べてくれる物質が含まれているのです」(ザハール博士)
なお、博士は自身のウェブサイト上に、こうした理論を臨床試験で実証する必要はないし、学術誌に発表する必要もないとするコメントを載せている。
■喫煙習慣はびこるインドネシア
インドネシアでは喫煙習慣がはびこっており、若い世代の喫煙率も高い。親はよく、静かにさせようとしてむずかる赤ちゃんにたばこを与える。コンサートでは10代の少年少女にもたばこが配られる。公共の場での喫煙を禁止する条例が施行されたためしはほとんどなく、街中にもテレビにもたばこの広告があふれている。
世界保健機関(WHO)によると、インドネシアにおける喫煙率は過去40年間で6倍に増え、喫煙が原因で死亡する人は年間40万人、受動喫煙で死亡する人は年間2万5000人にのぼっている。だがインドネシアは、アジアでは唯一、たばこの規制に関するWHOのたばこ規制枠組条約を批准していない。
情報元:AFP News
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