船体にペンキを塗るスジャルオさん(右)と山中船長。実直な働きぶりから実習生への信頼は厚い=7月28日、香美町香住区の香住漁協西港
昨年7月から漁業に携わる1期生は20代の7人。いずれも水産高校の卒業生で、船舶業務に従事した経験がある。1カ月間の講習を受け、昨年9月の底引き網漁とベニズワイガニ漁の解禁に合わせて漁船計7隻に分かれて乗り組んだ。2カ月ほどで作業に慣れ、冬季の過酷なズワイガニ漁でも気後れすることなく役割をこなした。
同漁協の組合員でつくる「香美町外国人漁業実習生受入事業協議会」の磯田和志会長は「環境が違う中、厳しい海上での生活を頑張っている。残り2年だが、漁業の戦力として頼りにしていきたい」と期待を込める。
実習生は漁業振興だけでなく、地域活性化にも一役買っている。同区若松と一日市では、地元の若者と一緒にみこしを担いで汗を流した。住民と和気あいあいとしたひとときを過ごし、祭りを盛り上げた。
7月に香住浜周辺で開かれた「香住ふるさとまつり」では、名物のたらいこぎ大会に出場。着実に地域に溶け込んでいる。実習生のモハマド・スジャルオさん(20)は「町はきれいで食べ物もおいしい。生活するのが楽しい」と笑顔で話す。
言葉の壁や文化の違いを超え、何にでも取り組む実習生の仕事ぶりに対し、現場の評価は高い。スジャルオさんが乗り込む盛山丸では、他の船員と冗談を言い合うまでに親交が深まった。
同船は来年も新しい実習生を受け入れる方針。1期生と共に活動することで、日本の生活に早く慣れさせる考えだ。船長の山中啓市さん(60)は「日本人には甘えてしまう人もいるが、実習生は信念がしっかりしていて物覚えもいい。あと2年で帰るのがもったいない」と信頼を寄せている。
情報元:日本経済新聞
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